今年の春は遅く、桃も桜も一緒に咲きました。

晴れた日には春満開! でも、

花曇りや雨の日が多く

夜になれば、まだまだ冷たい風の日が多い。

写・文 Kyoko Murakami No.16

桜やっと咲く!

うちの苗木の八重桜、細い枝はしなるほど

 

 

 

 

壁を伝う蔦、新しい葉は赤紫

 

 

 

 

 

 

 

レースラベンダーも冬を越えて新しい花が

 

 

 

 

母は手術後二ヶ月を過ぎても退院出来ません。

再び歩行出来る様になるには、一日も早く歩行訓練をする事が大切、

なのに、手術後の安静期を過ぎたら一刻を争うリハビリの必要性を本人が認識せず、

「大丈夫、歩けるから」と歩けるつもりで‘寝たきり’となりそう‥!でした。

痛み止めの薬でウツラウツラしている時期には、骨折した事実さえ忘れていました。

車椅子に座れる様になったらすぐに慣れて、病院内ではスイスイと

どこにでも移動出来て不便を感じないため、直れば歩ける、と信じていて、

今、練習しなければ歩けないままになる、と言うお医者様のお話を

すぐ忘れて理解せず、その様子に私は焦りました。

可能な限り、私は面会時間を使って、夜も誰もいなくなった外来カウンターに

片手でつかまり、もう片方を私の肩に回して一歩づつ、一歩づつ、

母と共に毎晩歩行練習をし続けました。

その成果はみるみる表れて、二週間ほどで歩行器を使い、

一人で移動が出来る所まで回復して来たのです!

昨夏の花サフィニアはなぜか冬を越えて咲き続けた。そして又、春が。

あの時、母の言いなりになっていたら、あのまま寝たきりになっていたかもしれないのに、

二ヶ月を過ぎて、ああ、母は二本の足で立ったのでした!

春の訪れは、忙しさに気を取られていても確実にやって来ました。

菜の花、筍、たらの芽など旬な物を美味しく頂き、まだ雪深い黒部を抜けて

仕事で同行した宇奈月で食した春の味、山の湯は

日頃の疲れをホクホクにしてくれました。

今年の春の訪れは東京に於いてもゆっくりゆっくりだったので、

昼、小春日和! などと浮かれて出かけても、夜は耳が痛くなるほど冷たい、

風の強い日が多く、病院の自転車置き場の自転車が、全てなぎ倒されている夜、

急患の通用口からそっと抜け出す私は、それでもホっとひと安心で暖かく感じていました。 

 

ドアを開け放っても寒くない日が

 

 

 

 

 

 

八重桜は3/26まだ固い蕾のまま

 

 

 

 

春の影。 写真を撮る自分の姿

 

 

 

 

 

 

指揮をしながらピアノを弾くリハで

 

 

 

 

 

 

 

 

今年は遅かったタンポポも、枯れ草の中に見つけました。 事務所前の原っぱで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぼってり重そうに若い八重桜

 

 

 

目がよかった頃の母はよく季節の花の水墨画を、色紙に画いていました。

 

 

 

毎度徹夜のアレンジよーサマ

毎日ほとんどの時間をアレンジに費やして、おうちのチェストには納まり切れないほどの

量の作品を持つおとぅの頭の中は、和音がわおんわおんと溢れてパァになりかかってます。

四月ばかの日は、そんな駄洒落溢れたMCと、お洒落な音でお馴染みの

趣味のグループ、‘ザ・室内バンド’のライブがあって、一曲目は

「エイプリル フール」から始まりました。 よーく聴いた事のある美しい曲だけど、

タイトルは知らなかった。 と、本人も言ってましたがわたくしも。

それで、え?! もう四月? とおかぁの頭の暦は今年は狂っていて、

やはり四月ばか、です。 エイプリルフールのフール「バカ」と言う直訳、ヘン。

こちらはホント、四月ばか状態、サクラも寒さに騙されてまだちょっとです。

それでも桜は入学式前にはちゃんと咲くのですよネ。 

寒い日が多いから花が美しい時期は長く続いて、満開の間に病院から母を脱出させて

見せてあげたい、と思いましたが叶わず、桜がもう咲いた事は母には内緒にしておきました。

病院の枕元に飾られた桜の枝は誰が持って来て下さったのでしょう?

母に聞いても忘れた様子、暖かい部屋の中では外より早く散るのでした。

そーんな諸事情あって、今年は花見と言う日はないまま葉桜になってしまいました。

NHKで収録の待ち時間に、食堂のガラス窓からぼんやりと外の景色を眺めても、

旧年度から新年度へ季節が変化して行くさまに、例年ほど気が行かなかった自分に気がつきます。

各局も番組編成変えなどバタバタする時期を終えて、新入生を迎えているのだろう、と

食堂に集う顔ぶれを見ても思いつつ、それよりNHK食堂のいくら丼が安い割りに美味しくて今年の春は

花より団子、ほうじ茶ガブガブ飲める事に喜んじまうおかぁでした。04.4.10 

ひと口食べてから、「きれい」と写真を。

毎年秋になると、美味しいいくら漁りをして‘高コレステロールめし’に偏りがちになります。

薄焼き玉子の刻みと大葉の緑、宝石の様ないくら、色もとてもきれい。

いくら、と言えば、おかぁが過去に見た「怖かった夢トップ3」に入る夢のストーリーで、

顔の肌が顔中いくら状態の吹き出物になってしまい、

プチプチ音を立ててはじけつぶれて行く夢、怖かったよぉ〜!

ついでのいくら話。 ディズニー映画の‘ファインディング ニモ’を観て、

「もういくらは食べない‥」と、ホロリとしたのですが、いくらの旬が来る頃には忘れていました。

お魚の少年ニモが生まれる前の卵の時代、いくらとそっくりな卵を、

ニモの両親さかなが、代わる代わる大切に大切に守り育て、ニモが無事生まれたのです。

それから大海原へ巣立つニモの冒険、泣かせる映画でした!

母と花見は叶いませんでしたが、新芽のうちに食する春物は全て既にクリア。

事務所前にあった桜の木が昨年、道路計画の都合で伐採されてしまったので、

代わりに植えた八重桜の苗木が、ひと足遅れて満開!  06.4.14

一昨年、片目の白内障手術をしてよく見える様になった筈の母の眼、

他の障害で再び見えていないみたい、と私は怪しんでいました。

整形外科入院中に、同病院で眼科検診を受けさせ、それが現実と判明、

もう片方の眼も手術を施行する事にしました。 

術後翌日にはいきなり視力取り戻し、数年振りにベッドで本を読んでいる姿の母を目撃! 

本当に現代医学は凄い! 数十分の手術で私より目が見える様になってしまうのでした。

老人は見えない事に慣れてしまい手術を拒み、不自由な中で

不自由は年のせいと諦めて、見えている風に気付かれない様に振る舞いますが、

母は見える様になった途端、表情はいきいき、TVにも景色にも本にも反応し、

脳がどんどん活性化して行くのが明らか!

早く退院して孫のライブにも行きたいわぁ‥!などと言ったのも何年振りでしょう!

でもまだまだ歩行器なしで歩く事は出来ず、私の病院通いは続いています。 04.4.24

これも水仙の種類か、歌い出しそうなお花です。

 

 

 

 

 

06.4.2曇り。市ヶ谷の土手の桜

 

 

 

 

 

 

 

NHK食堂窓から・まだ寒い曇り空

 

 

 

 

 

 

 

天気が良い日にはいきなり春の陽光!

 

 

 

 

 

 

 

 

母の画いた水仙

 

 

     

 

 

花束代わりに好物サラダ菜を持ち親子で

病院にで二ヶ月半を越えた母はリハビリ兼ねて介護施設に居を移しました。

新しいセンターは、ゼラニウムが窓辺に咲き乱れる窓際のベッドです。

墨絵の道具を荷物にそっと忍ばせておいたところ、枕元に活けたカーネーションを

早速、画いてサイドテーブルに置いてありました! 母の日ももうすぐ。

絵を描き始めたのも数年振りの事です。 この良い季節が母の行動力を助けてくれたのです。

おとぅの誕生日は日曜で、珍しく家族全員スケジュールお休み、

おとぅの母さまも招んで晩餐会みたい、ばぁさん会などしました。

母の見舞い帰りに買い物に走り、美味しい物沢山作りました。

桂クンがおとぅ親子を携帯でパチリ、と誕生祝い写真。06.4.30

薔薇に比べてこんなに小さな白いスミレが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

        
  copyright: Shiny's Office inc. April.2006 Kyoko M